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 小節線をまたいでつながっている連桁は、楽典的には例外的な表記ということになるのだろうが、ベートーヴェンやブラームスといった古典楽曲にもしばしば見られる表記であり、近現代の楽曲においてはいたって普通に見られる表記である。楽譜ソフトにおいて、小節内の連桁をつなぐことと小節線を挟んだ連桁をつなぐことにさしたる差はなさそうに思えるが、ことFinaleの連桁にとって、小節線の存在は往時のベルリンの壁のごとく厄介な障壁のようだ。どうもFinaleは当初の設計段階より、連桁を小節線をまたいでつなぐことを全く想定していなかったフシがあるからだ。


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 現在Finaleでは、小節線をまたぐ連桁はプラグインを使うことで実現できる。いや、「実現したように見える」と言った方が正確かも知れない。このプラグインを使ってつなげた連桁、一見つながっているように見えるが、実際は小節最後の音と次の小節最初の音符がつながれているわけではない。これは、小節線をまたいだ部分を改行してみるとすぐにそのからくりが暴かれる。


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冒頭の譜例の2小節目を次の段に送ってみたところ


 逆に、改行にかかる部分をつないだ場合、その部分が一段に収まるように小節のレイアウトを変更すると、やはり妙なことになってしまう。


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プラグインを使って改行部分の連桁をつないだところ


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上記の状態から2段目の小節を1段目に繰り上げたところ


 この「小節線をまたぐ連桁」プラグインは、同一組段上の連続している小節と、改行にかかった部分では全く異なる処理をしていることが分かる。したがって、このプラグインは、すべての組段の小節割りが定まった上で使用するのが適切な使い方ということになる(もちろん、後から連桁をつなぎ直すことは可能)。

 さて、これを踏まえて今回のお題目である。
 小節線をまたぐ連桁がページをまたいでしまう場合はどうすればいいだろうか? このプラグインを使用するには、あらかじめ少なくともつなぎたい部分の両側の小節を選択しておく必要がある。しかし、1ページ単位でしか編集ができなかったFinale 2008まででは、そもそもページを挟んだ2小節を選択する術がない。2009から複数ページを同時に編集できるようになったので、この問題は解決と思いきや、実際にプラグインを実行すると、以下の謎めいたエラーが出て、結局つなぐことはできないままだ。


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ページを挟んで「小節線をまたぐ連桁」プラグインを実行するとエラーとなる


 聡明なユーザーなら、「スクロール表示にした状態でつなげばいいじゃないか」と考えるだろう。しかし、このプラグインはスクロール表示の状態でもつねに改行/改ページ位置を考慮した処理を行うので、残念ながら結果は同じである。


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スクロール表示の状態で「小節線をまたぐ連桁」プラグインを実行する


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改行部分とそうでない部分で処理が異なっている


 このプラグインが実装されたFinale 2004当時は、まだ1ページ単位でしか編集できなかったわけだから、このプラグインの設計者がFinaleが複数ページにまたがって編集されることを全く想定していなかったことも頷ける。これについてはおそらく設計者自身も既に気付いていると思われるので、近いうちに改善されると思われるが、いずれにせよ、現時点ではページをまたぐ連桁の処理については2008以前と状況は変わらないということだ。

 ページをまたいだ連桁をつなぐには、改行部分を1ページ内に収める必要があるが、これには2通りの方法が考えられる。


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このページを挟んだ部分の連桁をつなぎたい


a. ページあたりの組段配置を一時的に変更する方法

  1. 2ページ目の最上段を1ページ目の最下段に追い込む。または、1ページ目の最下段を2ページ目の最上段に追い出す。これには、レイアウト・メニューの「組段の均等配置」を利用すると便利。

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  3. この状態で改行部分の連桁をつなぎ、組段を元のレイアウトに戻す。

b. 小節割りを一時的に変更する方法

  1. 2ページ目の最初の小節が1ページ目の最下段の1小節目に来るように、または、1ページ目の最終小節が、2ページ目最上段の最終小節に来るように、前後の小節割りを調整する。

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  3. この状態で改行部分の連桁をつなぎ、小節割りを元のレイアウトに戻す。

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 なお、1ページに1つの組段しかないスコアは、「改行=改ページ」なので厄介だ。このプラグインが動作するには、改行を挟んだ組段を1つのページに入れることを考えなければならない。


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  1. まず、2ページ目の1小節目を1ページ目に追い込む。または、1ページ目の最終小節を2ページ目に追い出す。

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  3. 「コーダ切れの作成」プラグインを使って組段を改ページ部分で分断する。

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  5. 「コーダ切れの作成」プラグインを使うと分断部分は必ず複縦線になってしまうので、ここで通常の小節線に戻しておく。複縦線のまま連桁をつなぐと、後で通常の小節線に戻したときに複縦線の幅だけ連桁がはみ出してしまうのを防ぐためである。
     この状態で分断された組段部分の連桁をプラグインでつなぎ、小節割りと組段を元のレイアウトに戻す。

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 この「小節線をまたぐ連桁」プラグイン、Finaleの機能の裏ワザを駆使し、それは涙ぐましい努力でこの連桁処理を実現しているスグレモノなのだが、そのあたりはFinale User's Bibleに詳しいので、ここでは割愛する。問題なのは、このプラグインはあくまでサードパーティが提供しているものであり、Finale本体の正規の機能で連桁の連結を実現しているわけではないことである。このプラグインによる連結は、ちょっと編集を加えれば容易に瓦解してしまう姑息な手段に過ぎないのだ。
 「コーダ切れ」にも言えるが、このような楽譜としては基本的な表記を、Finaleは外部プラグインにずっと頼り続けるつもりなのだろうか?

 「バグのないソフトは存在しない」と言われる。Finaleも言わずもがなである。最近は、リリース後に発見されたOSやアプリケーションの重大なバグについては、アップデータの配布という方法で対処するのが主流になっている。ネットの常時接続が当たり前になってきた現在は、最新アップデータを自動的にチェックして更新を促されるケースも多いだろう。最近のFinaleもこの方式を採っており、非常に便利になった反面、意外な落とし穴もあるようだ。

 去る2008年11月3日頃から、ネット上のあちこちで日本語版Finaleが起動しなくなったという悲鳴が上がった。何か情報はないかと日本語版販売元のイーフロンティアのサイトにアクセスしようとしても、サーバがダウンしていてつながらない。Finaleが起動しなくなった原因は、Finaleのアップデートの自動更新機能により、起動時にアップデートの確認にイーフロンティアのサーバにアクセスした時点で、サーバがダウンしていることにより、アプリケーションもそこで停止してしまうというものだった。

 もし、この状況に遭遇してしまったら、慌てずに以下の手順を試してみよう。

  1. まずパソコンのネット接続を切断する。ソフト的なネットの切断の仕方が分からない場合は、とりあえずネットに繋がっているケーブルを抜くという物理的方法でも構わない(笑)。
  2. 1.の動作でFinaleが正常に動作した場合は次のステップに進む。フリーズ状態が継続している場合は一旦Finaleを強制終了させた後、再起動する。
  3. Finaleの「ヘルプメニュー>アップデートの確認...」を選択し、アップデートの自動更新を「いいえ」に設定する。

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 これで、ネットに繋いだ状態にしてもアップデートの確認には行かなくなるので、起動時に停止してしまう問題は回避できる。

 ただし、この状態のままにしておくと、イーフロンティアのサーバが回復した後も、こちらが能動的にアップデートの確認に行かない限り、アップデートの案内は行われなくなることをお忘れなく。上記の方法は、あくまでイーフロンティアのサーバが落ちたという非常事態時の応急処置なので、通常はやはりアップデートの自動更新はオンにしておいた方が賢明かもしれない。

 ところで、上記のトラブルが発生していた際も問題なくFinaleが使えていたという人も多いと思うが、それは、アップデートの自動更新をオフにしていたか、ほとんど毎日Finaleを使っているため既に自動更新を済ませていたので、たまたま、サーバの落ちていた日に更新に行かなかったためだと考えられる(私もそうだった)。おそらく、このトラブルに見舞われたのは、Finaleを久しぶりに立ち上げたという人ではないだろうか。

 なぜ、この記事を書いたかというと、2009年1月12日(祝)16時現在、イーフロンティアのサーバがまた落ちているのだ。おそらく、また日本中のあちこちで悲鳴が上がっていることが予想される。

 2006までのFinaleでは、既に長休符として括られている部分に音符を入力しても、長休符が更新されず、冒頭の1小節分しか表示されないという問題があったが、2007からは、これを回避するために、ファイル別オプションの「長休符」の項目に、「長休符の自動更新」というオプションが追加され、デフォルトでオンになっている。


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 Finaleの長休符は、括られる小節の数にかかわらず、つねにデフォルトで設定された小節幅になってしまう。しかし、出版譜では、長休符は括られる小節の数に応じて変化させるのが一般的だ。


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 Finaleも長休符小節の幅を手動で変えることができる。しかし、いくら長休符小節の幅を一生懸命に調節しても、「長休符の自動更新」がオンになっていると、スコアや別のパートに切り替えた瞬間にすべてがデフォルトにご破算されてしまうのだ。


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全部同じ幅に戻ってしまった

 「出版譜のように小節幅を変えなくてもいいので関係ないや」と思う人もいるかもしれないが、じつはそうでもない。長休符の直後にクレフチェンジが行われる場合、デフォルトの状態では音部記号が長休符のバーとみごとに衝突する。スペーシングオプションに、音部記号を衝突回避対象に含めるチェックがあるが、長休符にはこれは効かない。この衝突を回避するには、長休符のバーの終点位置を調整する必要があるのだが、「長休符の自動更新」がオンになっていると、やはりこの調整も虚しくご破算されてしまうのだ。


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せっかく音部記号のためのスペースを空けても......

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「長休符の自動更新」がオンになっていると元の衝突した状態に戻ってしまう

 以上のことから、長休符を調整する可能性のある場合は、以下のことに注意する必要があるだろう。

  • 音符入力中は「長休符の自動更新」は必ずオンにしておく。
  • 音符の入力が完了し、長休符の括りが確定した時点で「長休符の自動更新」はオフにする。長休符の調整はこの後行う。
  • もし、長休符内に音符を入力する必要が生じた場合は、「長休符の自動更新」はオフのまま、編集対象の長休符を選択し、「長休符>作成」を使って更新する。

 とりあえずこれを守れば、せっかくの苦労が水泡に帰すことは回避できる。

 しかし、この「長休符の自動更新」オプション、更新するのは長休符の括りだけにして欲しいものだ。

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